コストダウン

調達購買部員が値上げを受けた時の対応│6ステップで解決できる!

値上げ要請を受けて一人で悩んでしまっていませんか?

調達調達部門は様々な理由で値上げ交渉を受けることがあります。

デフレや好景気下で調達をしてきた担当者は値上げ交渉の経験が少ないので困ってしまいます。

「値上げの交渉を受けたけど対処法がわからないよ」

「値上げを受けないと供給が止められるのでは?」

「値上げの金額が高いか安いのかもわからない、、いったいどうすれば?」

「会社の方針はコストダウンだし、どうすればいいんだ?」

この記事では資材調達歴25年で値上げ交渉の経験も豊富な筆者が「値上げ交渉の対処法」を解説します。

 

かもかもまん
かもかもまん

値上げ交渉では、すべてを受け入れる必要はありません。

拒否したからといって供給がストップすることもありませんよ。

 

値上げ交渉にも基本的な手順が存在します。

ほとんどの交渉は6つのステップを行うことで解決できます。

 

この記事を読めば、値上げの要請を受けたとしても冷静に的確な判断ができます。

 

かもかもまん
かもかもまん
もう、誰にも相談できずに悩むこともなくなりますね!

 

調達購買部員が値上げ交渉を受けた時の対応│6ステップで解決できる!

資材調達部員が値上げ要請を受けた時の対応策【6ステップで解決する】

 

調達・購買部員のあなたが値上げ要請を受けたときは、6つのステップで解決できます。

 

ステップ1:取引先の説明をよく聞く

ステップ2:根拠を明確に記した書面の提出を求める

ステップ3:一回目はお断りする

ステップ4:譲歩案を検討し提示する

ステップ5:交渉を開始し合意を目指す

ステップ6:吸収策の提出を求める

 

購買、調達部門の役割は「買いで利益を稼ぐ」ことにあるので、基本的には植上げ交渉は断固お断りする立場です。

しかし様々な理由で「値上げ要請」を受けることがありますよね。

値上げ交渉の理由

・需給のバランスが極度にタイトになる

・為替相場の変動

・メーカーの事故や天災

・取引先の経営悪化

 

これらの要請の中には、真に必然性のあるものもあれば便乗値上げも含まれます。

 

なので、調達部門は値上げの根拠をしっかり精査してケースバイケースで対応しなければなりません。

精査すべきポイント

・値上げの根拠

・現行の価格水準

・過去の取引経緯

 

かもかもまん
かもかもまん
とはいえ、特殊な「ノウハウ」は必要ありませんよ。

 

値上げ交渉を受けたときの対応を順番に解説します。

ステップ1:取引先の説明をよく聞き社内へ展開

 

値上げ交渉の中身と値上げしてほしい本当の理由をよく聞き出します。

 

かもかもまん
かもかもまん
基本的に原価は3要素に分かれていますから、分解できるように聞き出します。

 

原価の3要素とは「原料費」「労務費」「経費」です。

・調達している原料・材料・部品が値上がりしているのか

・労務費が上昇しているのか

・原油、電力などの費用が値上がりしているのか

・経営が苦しい、または赤字製品なのか

・撤退を考えているのか

 

「原価ってなに?わからないよ!」という方はこの本をどうぞ。

「原価」の解説本を10冊以上読んだわたしが、この本がベストだと断言します。

初心者でもわかりやすいので、原価の知識はこの一冊を読んでおけばOKです。

実は原料費の値上げ以外のことは、交渉で解決できます。

かもかもまん
かもかもまん
原料費以外の部分は相手の企業努力を促しつつ値上げを抑制しましょう。

ステップ2:根拠を明確に記した書面の提出を求める

 

値上げ交渉に慣れた担当同士であれば、ステップ1の段階で書面も準備してきますが、相手が値上げに慣れていないこともあります。

その場合は書面の提出を求めましょう。

社内や得意先の了解を得るために必要だと説明し要求すればOKです。

 

かもかもまん
かもかもまん
ポイントは書面には次のことを書いてもらうこと。

 

・前回価格改定があった時点からの時系列グラフで提出してもらう

・労務費は立地地域の平均賃金の推移を提出してもらう

・原油、電力などの費用についても過去からの推移をグラフ化してもらう

 

製造にかかわる価格は様々なソースで必ず調査できる

例)公的サイト、業界サイト、日本経済新聞など

 

かもかもまん
かもかもまん
原油、金属、パルプ、樹脂、古紙、電極、薬剤にいたるまで、調べられないモノはありませんよ。

 

もし分からない原料相場があるなら調査不足を疑いましょう。

 

※参考例

(1)原油 WTI:West Texas Intermesiate https://markets.businessinsider.com/commodities/oil-price?type=wti

(2)電力 電力価格=料金単価+燃料費調整単価https://www.energia.co.jp/elec/b_menu/index.html=料金単価https://www.energia.co.jp/elec/seido/nencho/index_d.html=燃料費調整単価

(3)電極などの一般的ではないものも「財務省貿易統計」のHPで調査可能です。  https://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm

上記、財務省貿易統計の「検索ページ」タグの「普通貿易統計」「統計品目情報」「統計品別推移表」をクリック。

輸出/輸入の選択→「輸入」を選択し、末尾の品目の指定欄にHSコードを入力します。

例えば電極の場合、HSコードは「854511010」です。

 

とはいえ、調達・購買部員が値上げ要請を受けてから調査していたのでは遅すぎです。

専門職としてプロを目指すなら、少なくとも週に1回は情報収集する癖をつけておくべきですよ。

※市場調査におすすめの情報ソースまとめは過去記事を参考にどうぞ。

有能な資材調達部員だけが知っている市場情報の入手先5選とまとめ方

購買部長が実践する情報収集5選│一目置かれる資材調達部員になれる
有能な資材調達部員だけが知っている市場情報の入手先5選とまとめ方資材調達の仕事に必要な情報の入手先を知りたいですか? 社内関係先から突然「最近の為替動向は?」とか「地金の相場はどうなってる?」な...

 

資料を集める目的

値上げの抑制だけでなく、次回の値下げ交渉の材料とするためです。

 

値上げの根拠資料を集める目的

・値上げ幅の査定

・自社のコストテーブルの整備

・次回値下がり時の根拠資料となる

 

かもかもまん
かもかもまん
特に原料・素材は、値上がりしたものは後日かならずまた値下がりするものです。

 

その時に間違いなく値下げしてもらうための資料として残しておきましょう。

 

購買、調達担当者は常に一歩先を見据えて行動しなければ務まりません。

 

かもかもまん
かもかもまん
できる購買部員は値上がり時には値下げ時のことを想定し、植下がり時には値上がり時のことを考えているものですよ。

 

大体の場合、この段階で上司や営業などの関係部門に報告を入れます。

 

かもかもまん
かもかもまん
この資料がなければ上司や社内の関係者の説明に苦労してしまいますよね。

 

ステップ3:一回目はお断りする

 

繰り返しますが、調達調達部門の役割は「買いで利益を稼ぐ」ことにあります。

値上げ要請に対してはお断りする断固たる姿勢が必要です。

1回目の交渉では、基本的にお断りをしておきましょう。

これは、あなたのキャリアのためでもあります。

 

かもかもまん
かもかもまん
1回目から値上げ要請を受け入れるようなヌルイ購買担当では、会社から見たら心配ですからね。

 

わたしなら次のことをよく説明して、一度目はお断りしています。

  • 自社の状況
  • 業界他社の状況
  • 得意先に価格転嫁ができる根拠があるか否か

 

かもかもまん
かもかもまん
心配なら社内関係者(上司や営業)を同席させてもいいでしょう。

 

ステップ4:譲歩案を検討し提示する

 

いったんはお断りを入れたとしても、値上げ交渉は一度出されたらゼロ回答で決着できることのほうが少ないものです。

 

かもかもまん
かもかもまん
それだけ、出すほうも本気ということですね。

 

ですからいったん断りを入れたあとには、すぐに交渉の準備に取り掛かります。

 

かもかもまん
かもかもまん
具体的には以下のことを調査してまとめておきます。

 

・現行価格のレベル【他社見積もりとの比較】

・値上げ額の妥当性【相場情報から計算可能】

・取引先との力関係【取引量の占有率】

・自社で受け入れ可能な許容値【粗利率から判断】

・過去10年間の取引経緯【貸し借りの度合い、幹部同士の人的交流など】

 

かもかもまん
かもかもまん
普段からコストテーブルを作成しておけば少しの工数でできます。

 

翌日に再交渉となっても徹夜作業にならないように普段から整備しておきます。

 

かもかもまん
かもかもまん
価格以外で譲歩できるVEやVAのアイデアがないか?も事前に検討しておくといいですね。

ステップ5:交渉を開始し合意を目指す

 

ステップ4の作業が終われば、いよいよ値上げ交渉が始まります。

まずはじめに下請法や消費税転嫁法等に違反しないよう十分注意をしてください。

 

かもかもまん
かもかもまん
法律に反する交渉はご法度。絶対にダメですよ。

 

表現の判断に迷うときは、上司に相談するといいでしょう。

ステップ2で文書をもらっておくのは相談できる状況をつくっておくためでもあります。

 

後ろには上司が控えています。

なので、担当者レベルで交渉が暗礁へ乗りあげることを恐れてはいけません。

 

かもかもまん
かもかもまん
供給ストップなどをちらつかせる営業担当もいますが、日本には「供給責任」という文化がありますから、現実には起こりません。

 

もし本当にやりそうな雰囲気があれば、上司に相談のうえ、相手の責任者の印鑑のある正式書類を求めてみてください。

よほどのことがない限り、価格交渉によって供給を止められることはありません。

 

かもかもまん
かもかもまん
もしそうなった場合でも、あなたの責任ではありませんよ。

ステップ6:吸収策(VE・VA)の提出を求める

 

時には値上げを認めざるを得ない状況があります。

・マスクや消毒液のように本当に市場に物が不足している場合

・地金や原油など、相場が急騰している場合

 

仮に値上げを認めたとしても、そのまま受け入れていたのでは自社が値上げ分をかぶる事になり収益が悪化します。

 

かもかもまん
かもかもまん
ご存知のように、購買価格を10円あげたなら、そのぶんの利益を取り返すためには10~20倍の売上額が必要になってしまいますよ。

 

値上げせざるを得ない状況であっても、調達購買部員にできることはまだあります。

 

・交渉文書や資料をもとに顧客へ価格転嫁の交渉を行う

・値上げした取引先に吸収案を10点以上出してもらう

・吸収案の中で可能性のあるアイデアを社内で検討する

・変更を検討し、必要であれば客先へ申請する

・価格改定後に便乗値上げや値戻しがないかをチェックする

 

これらのことを駆使して、値上がり分の価格吸収を行っていきます。

値上げ直後はつらいですが、このときに行った改善が自社の資産やノウハウとして残ります。

かもかもまん
かもかもまん
結果的に調達機能が強靭化していきますね。

値上げ交渉を受けた際の対処法まとめ

 

調達購買担当者が値上げ交渉を受けた際の対処法は6ステップで解決できます。

 

ステップ1:取引先の説明をよく聞く

ステップ2:根拠を明確に記した書面の提出を求める

ステップ3:一回目はお断りする

ステップ4:譲歩案を検討し提示する

ステップ5:交渉を開始し合意を目指す

ステップ6:吸収策の提出を求める

 

値上げ抑制の交渉に慣れていない担当者は、あっさりコストアップを飲んでしまう例が多々あるようです。

担当の営業マンに

「値上げしないと、値上げを認めた会社から優先的に納品される事になる」

「値上げを認めないと、供給をストップされます」

こんな脅し文句をちらつかせられますから無理もないのです。

 

ですが、簡単に値上げを認めてしまうと、会社の収益を悪化させてしまいます。

そればかりか、あなたのバイヤーとしての会社の評価も下がってしまいます。

 

わたしたち調達調達部門の役割は「買いで利益を稼ぐ」ことにあります。

基本的には植上げ交渉に対しては「断固お断り」です。

 

今回の6ステップを守って交渉を進めていけば、何の問題も起こりません。

ぜひ、参考にしてください。

交渉が苦手な方はこちらの記事も参考にどうぞ。

ちょっとした会話のテクニックを知っているだけでも交渉の難易度がグッと下がりますよ。

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