こんな疑問を解決します。
本記事の内容
・リモート監査を成功させるポイント3選│失敗談あり
・リモート監査で準備するもの
・海外リモート監査の注意点
本記事を書いているわたしは現役の資材購買部長です。製造業の購買として最近の2年で既に30社以上のリモート監査を経験しました。
そんな背景のわたしが、リモート監査を成功させるコツを解説します。
初期の失敗談も包み隠さずお話しますので、リモート監査が心配な初心者の方は是非参考にしてみてください。
【失敗談アリ】リモートの工場監査を成功させる手順とポイント3選
工場監査は取引先管理はもちろん、新規取引を開始する上でも重要な業務です。
購買部が失敗すると、会社に大きな損失を出してしまうかもしれません。
多くの部署や人も巻き込みますので、失敗は絶対に避けたいところですよね。
結論ですが、事前に以下の3つのポイントをチェックしておくとリモートの工場監査の失敗を避けられますよ。
1、事前に分単位でスケジュールを決めておく
2、先方に見るべきポイントを伝えておく
3.リハーサルは入念に│撮影・通信環境が特に重要
順番に解説します。
1、事前に分単位でスケジュールを決めておく
監査前には分単位でスケジュールを決めてしまいましょう。
※具体的に△△工業が××工場を監査する例は以下のとおり。
これくらい細分化してスケジュールを決めてしまう事が重要です。
ぶっつけ本番は通用しません
監査経験が豊富な人ほど、ぶっつけ本番でも大丈夫と思っていませんか?
実はそのパターンがいちばん失敗します。
自分が現地に行く監査であれば、自分の裁量である程度判断できますが、リモートの場合は相手の話を聞いたり資料を画面越しに読む必要があるからです。
さらに、リモートでは何人もの人間が同時接続しているため、自分のペースで監査が進まないことが多いです。
なので、できるだけ細かく分単位でスケジュールを決めておくことが大事です。
監査を予定時間でキッチリと終わらせられることも、あなたの監査員としてのスキルの評価となりますよ。
2、先方に見るべきポイントを伝えておく
先方に前もって2つのポイントを伝えておくと、短時間で充実した監査ができます。
ポイントは2つです。
①監査の目的
②見たいポイント
①監査の目的
工場監査・工程監査は目的によって内容は大きく異なります。
まずは目的を整理しましょう。
・新規開拓で経営状態を確認したい
・新製品を立ち上げる製造工程の適合を確認したい
・不良が多いので再発防止策を確認したい
次に確認の方法を明確化します。
・マネジメントシステムや法律に沿った監査
・製造手順書に沿った監査
マネジメントシステムはISO9001やISO14001、JISQ9001などの品質マネジメントシステムにのっとった監査のこと。
製造手順書は工程の監査に向いています。
②見たいポイント
多くの場合は事前に監査チェックシートに記入していただき、確認したいポイントを先方に伝えておく方法が有効です。※監査チェックシートは自社のものでOK。
見るべきポイントは以下のとおり。
・点数が低い項目
・有害物質管理の重要項目
・工場の雰囲気(5S)
確認の方法は下記が最適です。
・自己採点が低い項目=低い理由を明確化
・有害物質管理=法規制違反は即操業停止なのでSCM維持の超重要ポイントです
・工場の雰囲気=5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)を目で見て確認
気になった点はメモでOK
確認したいポイントを明確化しておけば、直線的に目的を監査できます。
このとき気になったポイントや、指摘事項はノートや別紙に箇条書きでメモしておきます。
このメモは最後のクロージングで使用します。
クロージングの時間は監査スケジュールの最後にあたり、残り時間も少ないです。
なので、準備する時間はないものとして考えておくと、スケジュール通り、時間内に監査を終える事ができますよ。
指摘次項を簡潔に伝え、後日確認や報告が必要な項目がある場合は、期限を相手に確認していきます。
お互いに合意しながらクロージングしていくことができると、後日の報告もスムーズに進むので、スマートな監査員のイメージが際立ちますよ。
3.リハーサルは入念に│通信環境が特に重要
リハーサルでは、段取りと通信環境を入念にチェックしておきます。
特に通信環境のチェックは重要です。
本番での通信障害が最も興ざめしますからね。
経験上、特に注意しておきたいポイントは以下の3つです。
・会議室の通信環境(WI-FIでOK)
・工場の通信はスマホのデザリングが最強
・現地カメラの手ぶれに注意
通信環境は、wi-fi環境があればOK。
使用するアプリはマイクロソフト公式のTeamsが安心です。
ZOOMはセキュリティの問題から、仕事に使用する企業は少ないですよ。
工場内の撮影は手振れに注意!
映像を会議室の大画面で見せられると酔います。
なので、手振れ補正のスマホで撮影、もしくはGo-Proなど手振れ補正のあるカメラを準備しましょう。
海外の工場ではDJIのosmo POCKET 2を使用しているとことが多い印象です。
一方、私の経験では、工場監査にはGo-Proが最適でしたね。
とはいえ、購入するにはちょっと金額が高いですよね。社内稟議もメンドウです。
そんなときはリースを使えばOKです。わたしは法人契約で利用していますけど、個人でも使えますよ。
リモート監査で準備するもの
必要な機材は全部です
持っている機材は全て準備しておきましょう。
どんな事が起こるかわからないのが、リモート監査ですからね。
・ノートパソコン
・プロジェクター
・webカメラ
・マイク
・手元を写すカメラ
・デザリングできるスマホ
・手振れ防止のついた撮影機器
ノートパソコンはcore i5程度のプロセッサーにメモリ8ギガの構成で十分です。
大きな画面に映す機材とキット化して準備しておくと便利ですよ。
カメラ関連はWEBカメラを予備含め、2台ほど準備すればOKです。
WEBカメラのオススメは「在宅のテレワークに最適なウェブカメラの選び方【オススメの10選】」の記事にまとめましたので参考にしてみてください。
スピーカーは「ankerのサウンドコア」のような無線式よりも、有線式を選んだほうが音声トラブルが少ないのでオススメです。
当社では「ヤマハ製」で統一していますが、トラブル無しです。
リモート会議専用の機材があると便利です
Wi-Fi内臓でスピーカー・360度カメラが一体になった機器があると、置くだけですぐにweb監査ができるので効率がよく、失敗も少ないですよ。
基本的にレンタルでOKなので、コスパもいいです。
さらに、手元を移すカメラも準備しておくと、急に書類を写したいときに便利です。
zoomやTeamsのアプリは書類関係をあらかじめPCにダウンロードしておかないと使えませんからね。
例えば以下の機材があれば瞬時に画面に反映し、共有できます。
海外リモート監査の注意点
海外のリモート監査で気をつけるポイントは2点です。
1、段取り(通訳の時間配分)
2、通信環境
海外監査の場合は、国内と違い通訳をはさむ場合が多いです。
海外監査は国内監査の2.5倍の時間がかかると思っておけば間違いないですよ。
特に最近では中国の監査も増えていますから、英語力だけでは対応できません。
中国語の難しさは「購買資材調達に英語スキルは必要?仕事では不要、転職したいなら有利」の記事をご覧ください。
中国語を独力で身につけようとする努力は無駄なので、通訳にお任せしましょう。
監査の手順は国内と同じ
規定類と記録が一致していることを確認すればOKです。
海外の監査といえど、国内工場の監査とやる事は同じですよ。
①手順類を確認
②手順どおりに作業されているか確認
③手順どおりの記録が残っているか確認
とはいえ、事務的な監査はあまり意味がありません。
海外のリモート監査では
・法規制の違い
・工場の雰囲気
・従業員の雰囲気
こんな点に注目して、動画だからこそできる監査を進めたほうが有益です。
目的を明確にして、内容も絞り込んで実施すれば、初めてのリモート監査でも成功させる事ができますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
コロナの機会にあなたもWEB監査マスターを目指しましょう!
では今回は以上になります。