もし資材調達部への就職や転職を考えているなら、年収よりも業務内容と職場環境の調査が重要です。
年収が高くてもブラックな職場環境や自分に合わない業務内容だったら、またすぐに転職することになってしまうからですね。
自分に合わない業務内容や、職場環境で働くことはとても苦痛です。
最初に「違う!」と感じた職場は、いつまでたっても慣れることはありません。
どちらにしても、いずれ退職か転職を迫られることになります。
この記事では、資材調達の業界で25年働いた経験を元にまとめました。
業界ごとの調達レベルと職場環境の違い
【記事を読むメリットのある方】
資材調達の仕事に就職、転職を考えているあなた
【記事を読むとわかること】
業界ごとの業務内容と職場環境の違いを紹介します
なお、メーカーの仕事内容そのものを知りたい方は以下の書籍がオススメです。
転職前に要チェック!資材調達の業務内容と職場環境は業界別で大違い
同じ資材調達部であっても業界によって業務内容も職場環境もずいぶん違います。
スマートに資材調達の仕事をしたいなら、以下の順に就職先を選ぶことをお勧めします。
1位:完成車メーカー、車載の電装サプライヤー
2位:電器、電子部品メーカー
3位:化学、材料メーカー
現場に入り込んだ人間味あふれる資材調達の仕事が好みなら、逆の順番がおすすめです。
本記事では以下の3つのポイントを比較しつつ順番に解説していきます。
- 業務内容
- 職場環境
- 人間関係
なお、上記を踏まえたより具体的な求人の見方を以下の記事で解説しています。サクッと失敗しない手順を知りたい方は以下の記事をどうぞ。
3業種での資材調達業務比較
各業種ごとの業務内容と職場環境の違いをまとめました。
業務内容 | 職場環境 | 人間関係 | |
完成車メーカー 車載電装サプライヤー |
コストエンジニア | 完全フレックス
残業なし ビジネスカジュアルな服装 |
役職は役割 自由な雰囲気
|
電器、電子部品メーカー | コストエンジニア |
コアタイムありのフレックス 残業は30時間程度あり ビジネスカジュアルな服装 |
役職は役割 自由な雰囲気
|
化学、材料メーカー | 納期管理と伝票処理が中心 |
定時間勤務 残業は60時間以上も 休日出勤もざら 作業服勤務 |
役職は権限
上位下達な雰囲気
|
順番に解説していきます。
完成車メーカー、車載の電装サプライヤーの資材調達
・完成車メーカー:トヨタ
・制御電装サプライヤー:DENSO、アイシン
世界でもトップの会社は管理レベルもトップクラスです。
その分レベルも高く優秀な人材も豊富です。
つまり、あなたの代わりは誰でもいる職場です。
肉体的な負担は少ないですが、精神的な負担が大きい業界です。
完成車メーカー資材調達の業務内容
業務内容は改善を主眼にしたクリエイティブな業務です。
・新規部品の契約業務
・量産工程立上げ業務
・サプライヤーの原価低減活動
この業界で働く人は「かなり勉強しているんだろうな」と思う人たちばかりです。
創造的な仕事は自分でネタを探す必要があり、継続していくのが難しい仕事です。
原価低減活動は開発購買業務、コストエンジニア的な職務内容です。
材料費、マンチャージ、マシンチャージ、管理費、物流費用を分析し、設計変更(VE)工程変更(生産性改善)引取物流など物流費の見直し(SCM改善)を行ないます。
完成車メーカーの職場環境
働き方はコアタイム無しのスーパーフレックスタイム勤務です。
毎月の残業時間も20~30時間程度でサービス残業も休日出勤をすることもないです。
服装もビジネスカジュアルでオッケーです。
完成車メーカーの人間関係
ここでの働き方の思考は「役職は役割分担」と言う考え方です。
役職によって身分に上下をつけることがありません。
歴史のある会社が多いので、日本的な文化が残っています。
部下が上司に対しても自由に意見を言いやすい雰囲気が作られています。
他部署や取引先との関係性も同様です。
役割分担しながら、チームとして目標に向かって仕事を進めていく感じです。
自分の職務以外の心配をせずに仕事に集中できるのはいい環境ですよね。
電器、電子部品メーカーの資材調達
電機関連:パナソニック、NEC、キオクシア(東芝)
製品例:家電、パソコン、スマホ
80年代に世界シェア80%を占めた半導体業界も資材調達の管理レベルは高いです。
ただ最近は台湾中国にシェアを奪われ、革新性が落ちています。
かつての財産の延長で維持しているイメージです。
この業界は人材が少ないので、優秀な資材調達を長い時間をかけて育てていく文化があります。
収入面で自動車業界にはかないませんが、ぬくぬくと仕事ができる良さがあります。
仕事に人間的な成長を求める方には電機、電子部品業界が最適です。
電器、電子部品メーカー資材調達の業務内容
業務内容はコストエンジニア的な仕事と日常のルーチンワークを一人で受け持ちます。
・新規、量産部品の契約業務
・サプライヤーの原価低減活動
・日々のルーチンワーク(発注管理や納品管理)
新規、量産部品の契約業務、コストエンジニアの業務は、自分で有利購買を推進していく創造的な仕事です。
コスト分析の能力に加えクイックレスポンスと、コミニュケーション能力が必須です。
逆に、好奇心旺盛で、人付き合いが好きな方には適職になります。
営業からの転職もうまくいきやすい職種です。
電機、電子部品メーカーの職場環境
働き方は、コアタイムありのフレックスタイム勤務が主流です。
毎月の残業時間は30時間程度で、リーダークラスになると納期トラブルで稀に休日出勤があります。
就業時の服装は、ビジネスカジュアルでオッケーです。
工場勤務の場合は、制服に着替えるので服装に気を使う必要がなく楽です。
電機、電子部品メーカーの人間関係
役職は役割分担という考え方で仕事をしています。
役職によって身分に上下をつけることがありません。
歴史のある会社が多いので、日本的な文化が残っています。
部下が上司に対しても自由に意見を言いやすい雰囲気が作られています。
「上司は部下の面倒を見るもの」という習慣があります。
他部署や取引先との関係性はギブアンドテイクの関係性です。
感謝の気持ちを忘れない関係性は働いていてモチベーションが上がりやすいです。
仕事の達成感を得たい加担は最適な職場環境です。
化学、材料メーカーの資材調達
基幹産業:化学、セメント、非鉄、鉄鋼金属メーカー
歴史が古く設備産業の要素が強いので、良くも悪くも設備ありきです。
昔は当たり前でも今はちょっと違うのかな?と戸惑う方もおられるかも。
人付き合いが苦手とか、一人でもくもくと仕事をこなしたい人には向いています。
工場が大好きで、機械に触れていると幸せな人にとっては魅力的な職場です。
化学、材料メーカー資材調達の業務内容
業務内容は、事務屋兼工場労働者のようなイメージになります。
具体的なルーチンワークは以下のものです。
・原料・副資材などの在庫管理と発注、検収などの伝票処理
・生産治具や設備用補修部品の発注
・納期のフォロー
・検収などの伝票処理
・荷受け業務(フォークリフト、天井クレーンの資格が取れる)
・修繕工事等の発注、検収などの伝票処理
気難しい現場のおっちゃんや納入業者とうまくやっていくスキルが必要です。
自分で考えたり、他社と競争するような精神的な疲れは少ないです。
労働の疲れは肉体的な疲れ以上に心地いいです。
工場で必要なフォークリフトの免許や、クレーンの玉掛けの資格、危険物取扱者の資格などを取ることができます。
油にまみれて仕事をすることが嫌いな人には向いてません。
あと、夏場と冬場は暑いし寒いしで体力的にも厳しい面があります。
現場で煙草でもふかしながら、わちゃわちゃと仕事をしたい人には適任です。
実際に、倉庫管理の前職から転職してくる人が多いようですよ。
化学、材料メーカーの職場環境
働き方は、コアタイムありのフレックスタイム勤務が採用されてます。
24時間フル操業のため、有給休暇も取得できませんし、残業時間は月70~80時間はざらで、月数回は休日出勤もあります。
残業代が支給されないサービス残業もある業界です。
服装は会社指定の作業着が支給されますので、この点はラクチンですね。
素材の業界は厳しい労働環境の歴史があるので労働組合が超強い特徴があります。
職場環境よりも収入や福利の待遇を充実させたい方には適職です。
「とにかく家族を養うんや!」「貯金して起業したいんや!」という方が多い職場です。
化学、材料メーカーの人間関係
働き方の基本思想は軍隊的な組織論です。
「部長」「課長」「係長」等の役職者は「~課長」と役職付で呼びますし、立場も偉いです。
部下が上司に対して意見をいう事はなく、上からの命令に従って黙々と作業をこなしていく感じです。
体育会系で上下関係のほうが居心地がいい方には適職です。
何もしないで将来偉そうにしたい人には最適な職場です。
資材調達レベルの診断方法
上図は職場環境や仕事のレベルを表にしたものです。(クリックで拡大します)
職場のレベルは5つのレベルに分けて診断できます。
1,現状志向
2,改善志向
3,改革志向
4,戦略思考
5,グローバル志向
古い体質で改善の遅れた企業や業界ほど、現状維持の志向が強く属人的な仕事になります。
改善志向でグローバルな戦略をとる企業は、新しい仕組みの採用に積極的でスマートな働き方を好みます。
会社四季報で業界のレベルを判別する方法
会社四季報や厚生労働省のデータでも業界の特徴をある程度知ることができます。
若年層の離職率が高い業界は俗人的な職場環境であることが多いです。
▼会社四季報「3年後離職率」
▼会社四季報「残業時間」
▼経済産業省「産業別入職率・離職率」
▼経済産業省「年齢別入職率・離職率」
これらのデーターを活用すれば、自分で調べることもできますよね。
転職サイトで業界情報を知る方法
転職の素人は判断を間違えますから、プロを使って自分で調べるのが一番です。
以下の5社はわたしが実際に使ってよかった転職サービスです。迷ったらこの5社に登録しておけば間違いないかと。
20代特化型のエージェント
マイナビジョブ20’s│20代に特化しているので初めての転職者にやさしい
Re就活│20代第2新卒転職の最大手。満足度調査4冠達成の実績
大手総合型の転職エージェント
マイナビエージェント
JACリクルートメント│薦めたい転職エージェントNo.1。業界トップの実力と実績があり安心です。
doda│業界歴が長く、信頼できる転職サービス。地方案件にも強いですね。
実際の事前調査に使える転職サイト
もし、転職を検討されているのであれば事前調査は必ず行いましょう。
以下のサイトはわたしが転職前に必ず使っているサイトです。
正社員だけでなく派遣社員の書き込みも見られますので、社風や職場環境の真実を知るのに参考になります。
・OpenWork:社員の口コミが書き込まれているサイト。年収や企業風土など現場で働く方の意見を直接知ることができるから有益です。
・転職会議
転職会議は更新書き込みも多く、最新情報を知る参考になります。
会社の雰囲気はその会社のそのものを表しますから、転職に失敗しないためには上記の利用は必須レベルかと。
まとめ
業界の管理レベルには違いがあるから、就職・転職時の業界選びは超重要です。
自分に合わない業界を選んでしまうと、もう一回転職活動をすることになりハードモードです。
職選びは情報戦です。本記事が後悔しない職選びの手助けになると嬉しいですね。
未経験から購買部の職選びに失敗しない方法は以下の記事でも解説してますので、こちらも参考にしてみてください。
≫【未経験者向け】購買転職手順の完全講義│現役部長が求人の見方を解説
では、本記事は以上です。
実際に使ってよかった転職サービス(本気で行動したい人向けのリンク)
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