こんな疑問に答えます。
本記事の内容
・納期管理の仕事はムダです(理由アリ)
・納期管理の理想は管理しないこと(手法も解説)
・納期の追いかけが好きな人は成長しません(出世もできない)
本記事を書いているわたしは資材購買のキャリア25年のベテランです。
本記事では、若いあなたに向けて、納期管理の仕事が必要悪な理由と、どんなスタンスで向き合うと将来のスキルアップに繋がるのかについてお伝えしていきます。
調達購買部の納期管理の理想はゼロ管理│実務は楽しいけど成長しない
購買部門の納期の仕事の90%は先行情報(内示)で決まります。
納期管理をしている時点で異常事態になっているか、もしくは仕事のやり方を考えた方がいいですよ。
重要な仕事は「情報精度をあげること」だったりします。
記事の結論
・納期管理の仕事はムダです
・納期管理の理想は管理しないこと
・納期の追いかけが好きな人は成長しません
とはいえ「納期を追いかけて納期通りに届ける仕事も重要では?」こんな意見もありそうですね。
納期管理の仕事はテクニックなので、知識として知っていればOKです。
というのも、納期管理の仕事は2つに分けることができます。
・納期を追いかける仕事
・納期の改善をする仕事
購買の仕事において、もっと大事な本質部分は別にあり、本記事でお伝えしたいことでもあります。
順番に解説します。
納期管理の仕事はムダです
納期回答は守るのが普通です。当たり前すぎますね。
さらに、納期の仕事は入荷したら終わりです。
なので、納期管理の仕事は必要悪とも言えますね。
必要悪=「ムダだけど、やらなければならない仕事」です。
そんな必要悪の仕事は手順化して、誰でもできる仕事に落とし込むべきですよ。
納期管理3手順
手順1:進捗状況の把握
手順2:注文残の管理
手順3:納期遅延日程の連絡
手順1:進捗状況の把握
①取引先からの納期回答を入手する。
②納期回答のリストによって納期の確認行う。
③納期遅延があれば、上司に報告すると共に確定納期を確認する。
手順2:注文残の管理
①納期遅延の「注文残リスト」を作成する
②注文残リストを関連部門に連絡し情報を共有する
③注文残リストに記載の修正納期を逐次報告する
注文残リストに記載される原因を分析すると、発注側の責任が8割を占めます。
・注文書の発行ミス
・基準よりも短納期の注文
・取引先のトラブルで納期遅れが発生
手順3:納期遅延のトラブル解決
①製造部門のトラブル解決
②営業部門のトラブル解決
納期が後れると生産計画の変更が生じ、得意先への約束納期が遅れる場合があります。
問題解決のために社内の関係部門が協力して挽回をがんばり、得意先に迷惑をかけないように動くのですが、実はこのときに「充実感」があるんですよね。
ナゾの一致団結や達成感があるので、充実感を味わえるのですが、そもそも納期遅延の原因は自部署の責任が8割なんです。
納期管理の理想は管理しないこと
納期管理の理想は管理しないことです。
理論上、以下のことが守られれば納期は管理する必要がありません。
・基準リードタイム以内に納品される
・基準リードタイムを守って発注する
・基準リードタイム以上のものは在庫を持つ
さらに、上記が守れない原因は自社起因と取引先起因に分けられ、8割は自社に起因することです。
なので、納期管理の究極は管理しなくてもいいように、それ以外の仕事をキッチリやることと言えます。
自社起因の要素は以下のとおり。
・連絡ミス
・取引先の能力把握不十分
・原材料の入手遅れ
・最終図面の変更
・仕様書の最終確認の遅れ
取引先の要因はわずかです
一見、取引先の起因であっても、深彫りすると実は自社起因だったりします。
なぜなら、その取引先を選定して発注したのは自社の購買部員だからです。
・取引先の製造工程のトラブル
・取引先担当者の信頼性
・原材料のトラブル
・取引先の品質トラブル
・工程管理・品質管理体制の不備
・製造機械・設備の故障
受注能力、受注体制、製造工程の品質管理体制などを指導して、責任を持っていい取引先に変えていきましょう。
無理な要求は禁物
自分で実力のない取引先を選定しておいて、できないからといって文句を言ったり、無理な要求をするのはお門違いです。
また、自部門のミスを取引先に押し付けるのもご法度ですよ。
下請法には4つの義務と11の禁止事項があります。「資材調達業務で注意すべき法律【下請法の3ポイントをやさしく解説】」の記事をご覧ください。
納期の追いかけが好きな人は成長しません
納期の追いかけは、納期回答や遅延リストに対して、ひたすらフォローと交渉をしていく業務ですね。
充実感があり、内部とのコミニュケーションもできるので、新入社員に最適な業務です。
・関係部署との一体感が生まれる
・納期が調整できると工場や営業に感謝される
・毎日の仕事に退屈しない
こんな側面がありますが、そもそもが必要悪な業務なので、嵌ってしまうと成長が止まります。
成長する人と成長しない人の思考の差は以下のとおり。
成長しない人:「納期が遅れてるから、納期の追いかけがんばるぞ!」
成長する人:「また納期が遅れてるな。何故遅れたのだろう?根本を解決しよう」
まとめ:納期管理の手法よりも学ぶべきこと
納期管理の手法を学ぶ事に意味はありますが、納期管理の仕事自体はムダな仕事です。
納期管理に悩むくらいなら、在庫を持ってしまったほうがむしろ会社のためになります。
・納期管理をしないことであなたがスキルアップできる
・本質を改善することで取引先レベルが上がる
・納期遅れに繋がるミスを改善すると会社の生産性が上がる
・納期遅れによる作業ロスがなくなる
・納期遅れによる客先の信頼喪失が防げる
・納期遅れによる機会損失がなくなる
特に納期の追いかけは、物が入ってしまえば終わりの仕事です。
購買部員の究極目標は有利購買です
なので、将来スキルアップして出世、もしくは独立のキャリアを目指すなら有利購買状況を作り出せるスキルを習得すべきですね。
有利購買状態を作れるスキルがあれば、すぐに管理業務ができる役職につけますし、極めれば、副業でのコンサルや、独立も可能になります。
具体的なスキルは以下の通り。
・新規取引先開拓スキル(情報収集・交渉)
・コスト査定スキル
・原価低減(VA/VE)スキル
・見積もり査定スキル
・監査スキル
納期管理よりも優先度の高いスキルは以下の記事を参考にしてみてください。
・有能な資材調達部員だけが知っている市場情報の入手先5選とまとめ方
・具体例アリ│現役資材購買部長がおすすめするコストダウン手法10選
調達購買の仕事はスキルアップすることで収入が増えたり、選択肢が広がるスペシャリストの仕事です。
わたしも、とある大手航空会社から年収1000万円のオファーをいただきました。勤務地の希望が合わず見送りとなりましたけど、購買でスキルアップしつつ年収アップの転職を狙うと、チャンスは大きいです。
もし、成長するキャリアプランを選ぶなら、納期管理の業務はそこそこにするべきです。
より自分のためになるスキルをみがきつつ、転職市場の動向、副業やコンサル独立の勉強に時間を使ったほうがいいですよ。
納期管理に悩むくらいなら「資材調達購買に必要なスキルとキャリア│未経験からの転職手順も解説」の記事を参考につつ、ご自身のキャリアプランを模索した方が有益です。
では、今回は以上です。