資材調達/購買部員はどうあるべきなのか?
あるべき姿や行動基準に悩んでいませんか?
わたしも新人のころは社内の購買ポリシーがあいまいだったので、購買部員としてのあるべき姿に悩んできました。
仕事をする上で目指すべき姿、行動の哲学(ポリシー)が無い状態はとても不安ですよね。
・資材購買・外注部門の役割と責務ってなんだろう?
・資材購買・外注部門員のあるべき姿ってどんなものだろうか?
・優秀な資材購買・外注担当になるためにはどうすれば?
この記事では現役の購買部長が上記の疑問を解決します。
この記事を読むメリットのある方
・資材購買部員としての働き方の軸が分からなくて悩んでいる方
・これから資材購買部員を目指している方
この記事を読んだあとには、仕事の悩みがスッキリするはずです。
・資材購買部員としてのあるべき姿、役割、責務がはっきりする
・どんな姿勢で仕事に取り組むべきなのか?の悩みがなくなる
調達/購買部員のあるべき姿とは?│購買部長が新人の悩みを解決する
調達・購買部は取引先、外注先に対しての会社の顔とも言える存在です。
購買歴25年超の結論です。購買部員のあるべき姿は以下の3つです。
①使命感と危機感を持って仕事にあたる
②常に自分に厳しく妥協しない
③不遜な態度は厳禁
順番に解説します。
行動基準①使命感と危機感を持って仕事にあたる
第一に資材購買・外注の担当者は専任化されたプロであるべきです。
なぜなら、ものを買う人材が素人であれば、その会社は高いものを買うことになるからです。
例えば、他社に安く売った分、あなたに高く売ることで収支バランスを取られてしまうと、他社に価格で勝つことができません。
なので、調達・購買部員は常に「使命感」と「危機意識」を持つ人材でなければなりません。
行動基準②常に自分に厳しく妥協しない
仕事にはその役割にあった行動基準が必要です。
営業なら「顧客重視」工場の直接作業なら「3現主義」といった具合です。
では、調達・購買部門のあなたの行動の基準は何でしょうか?
さまざまな意見があると思いますが、経験的な結論からいうと
「徹底的に厳しく・妥協しないこと」
これがモノを買う資材調達の行動基準にふさわしいでしょう。
具体的な例をあげて説明すると分かりやすいと思います。
責任に対し徹底的に厳しく妥協しない
厳しくというのは、社内の関係部門や取引先に借りをつくらないということです。
・納期の管理
・仕様の決定
・価格の決定
これらにおいて「きっちりとやる」ということです。
「納期遅れの特性要因図」を分析すると、じつは納品側よりも発注側である購買部門の妥協の問題が一番大きいことがわかっています。
とはいえ、すべてを厳しくすることは簡単なことではありません。
というのも、購買部は部署として軽んじられる傾向があるからです。
例えば、生産管理部の中に購買課が位置づけられていたり、営業部の中に業務課という形で購買の機能がある会社も多いですよね。
生産管理にくっついていれば、納期優先になりがちですし、技術、工場部門とくっついていれば、仕様が優先されて価格は軽視されがちです。
たしかに、単なるメッセンジャーなら、購買部は不要と思われても仕方がないですが、購買部門には「適正価格で購買する」という重要な役割があります。
3権分立を意識する
本来、資材購買・外注部門の組織論的には「独立」が望ましいのです。
売り手:営業
作り手:技術・工場
買い手:購買
理由は、不十分な交渉で見切り手配をすると、価格や仕様がおろそかになるからです。
しかし、現実的には他の部署にくっつけられている。
ですから、自身で意識して弱点の補完をしていく事が大切になります。
このあたりは新人購買部員が悩みやすい部分ですが「悪い円安に対応した購買の行動基準│交渉できない購買部門はいらない」の記事が参考になるかな、と思います。
自分自身にも厳しく妥協しない
取引先には、当たり前のことを当たり前にやっていただく。
同時に、買う側も「自分自身にも厳しく」なければならないでしょう。
具体的には、以下のことを徹底すれば大丈夫です。
・約束は守ってもらう
・守れない約束をしない
・破る場合は先に言っておく、先に言っていただく
上記は当たり前のようですが、忙しくなると意外とごまかしてしまうものですよ。
行動基準③不遜な態度は厳禁
立場が強い=偉いではありません。
購買や外注担当者は「買う側」の立場になります。
よほど気をつけていないと、不遜な態度を取ったり横柄な態度になりがちです。
調達・購買の仕事は人格と品性を保ち続けることがとても大切になります。
品格を保つコツは、シンプルです。
いつも自分に下記のことを言い聞かせましょう。
もともとは、他人の痛みが分かるいい人格を持っていたはず。
なのに、仕事を通じてイヤな人になっていないだろうか?
不遜な人になってはいないだろうか?
一生懸命に仕事に取り組んだ結果が「いやな人格の形成」なんて悲しすぎます。
仕事というのは、自分を成長させてくれるものでなければなりません。
調達・購買部員の重要性│強い会社はバイヤーが優秀
強い会社というのは、販売力が優れていると同時に例外なく購買部門も優秀です。
例えばトヨタは販売力・製造力・調達力が優れているので世界のトップ企業です。
理由は、資材調達部門が調達を通じて利益を稼ぐ部署だからですね。
利益=売り上げー原価です。
売り上げが↑・原価(支払い)が↓なら、単純に利益は最大化していきます。
強い会社は「売りによる利益」よりも「買いによる利益」で他社との差をつけているものですよ。
優秀な資材購買・外注部員になるためのヒント
優秀な購買部員になるためには、付加価値を生まないムダを見抜く目を養うことが大切です。
企業におけるムダには「7つのムダ」があります。
①作りすぎの無駄
②手待ちのムダ
③運搬のムダ
④加工のムダ
⑤在庫のムダ
⑥動作のムダ
⑦不良のムダ
上記は購買部員なら暗記必須ですよ!
「ソウ」とつくものには無駄が多い
なお、「ソウ」という文字が付くものには無駄が多いといわれています。
たとえば以下のとおり
・塗装
・輸送
・包装
ほかにも「ソウ」が付くものを探してみましょう。
まとめ
調達・購買部員の役割とあるべき姿をまとめると以下のとおり。
◆役割:QCDの最適化
購買・資材調達の役割とは、良い品質の物を、適切なタイミングで、適正な価格で調達すること
◆あるべき姿:「使命感」「危機意識」「謙虚さ」
・常に「使命感」と「危機意識」をもつ
・徹底的に厳しく・妥協しないこと
・ただし、人間としての人格と品格を保ち続ける
◆資材購買・外注管理の仕事は企業の中で最重要です。
- 海外の企業との競争に勝たなければならない
- 価格は製造企業ではなく市場で決まる
こんな環境になってきているからです。
企業同士の利益の差は営業部門による「売りの利益」というよりは、むしろ購買による「買いの利益」で決まります。
なので、あなたが優秀な購買部員になることで、企業の業績が上がり、従業員の給料が上がります。
なお、スキルアップの方法は「資材調達購買に必要なスキルとキャリア│未経験からの転職手順も解説」にまとめています。
参考にしてみてくださいね。