・資材調達・購買職のキャリアパスを知りたい。
・購買職はこれからどんなキャリアパスを選んでいけばいいのかな?
こんな疑問を解決します。
本記事の内容
・購買職のキャリアパス3選
・購買職の将来性と課題
・これからの購買職のキャリアパス
本記事を書いているわたしは、現役の購買部長です。2000年から資材調達の仕事をしており、キャリアは20年を超えています。
そんな購買歴25年の筆者が購買部門の基本的なキャリアパスを解説しつつ、これから10年後の未来のキャリアパスをお伝えします。
この記事を読むと、あなたがいま何を学ぶべきなのかが見えるから、将来の年収アップとあなたの将来設計に役立ちます。
購買歴25年の僕がおすすめする!資材調達部員の稼げるキャリアパス
未来の働き方はどんな仕事でも次の3つに分かれていきます。
①マックジョブ:誰でもできるマニュアル仕事を低賃金で責任小で働く仕事
②スぺシャリスト:専門性を武器に高時給、責任大で働く仕事
③クリエイター:資格と実績を武器に独立して自己責任で働く仕事
上記を資材調達・購買の仕事に当てはめると以下のとおりです。
ステップ | 職種 | 習得レベル | 年収 |
ステップ① | マックジョブ | 基礎知識 | 600万円 |
ステップ② | スペシャリスト | 専門スキル | 1000万円 |
ステップ③ | クリエーター | 資格と実績 | 数千万円 |
なお、購買職はキャリアパスを進めるだけで年収が上がっていく仕事です。
くわしい手順は以下の記事で解説しています。
≫購買職の平均年収とは?3倍増した3つの手順【1千万円の目指し方】
ステップ① マックジョブ
マックジョブは誰でもできるアニュアル仕事のことです。
下記の購買職の仕事の流れをご覧ください。
「見積もり」→「購入先の選定」→「発注」→「入庫」→「検収」
マックジョブは「発注」「入庫」「検収」の部分を担当します。
基本的に手順どおりに作業していけばできてしまうので、新人向けの仕事になります
ただしマニュアル化されているとはいえ、作業量が多いですから、テキパキと作業できる能力が求められます。キャリアのほとんどは効率化に費やされるでしょう。
マックジョブを効率化する手順は以下の記事にまとめています。
≫資材調達・購買事務の効率化ツール3選と導入手順│残業ゼロの働き方
ステップ② スペシャリスト
(営業) 受注
↓
(技術)仕様決定
↓
(資材)見積もり→購入先の決定→発注→入庫→検収
↓
(工場)生産
↓
(経理)支払い
購買職のスペシャリストは戦略的調達ができるコストエンジニアです。
マックジョブが自部署の、しかも一部分しか関わらないのに対し、前後のプロセスに広くかかわります。
主に「コスト交渉」や「原価管理」が仕事になるから、「原価計算」「効率化の知識」に加え「現場感覚」も必要です。
専門スキル+幅広い知識が必須ですからコストエンジニアは資材調達購買部門の花形です。
マックジョブの担当→見積もり業務→新規開発などの契約業務→コストエンジニア
上記の流れでキャリアアップしていきます。
あなたの実力が上がるほどに、会社の利益にダイレクトに貢献できる喜びが得られます。
求められるキャリアをキャリアップにまとめました。※クリックで拡大します。
上記のレベル感と年収の推移は以下のとおり。
習熟度と年収
レベル1で通常業務がこなせて年収400万円ぐらい稼げます。
レベル3まで習得すれば普通に年収800万円ぐらい稼げます。
レベル5まで習得したら年収1000万円稼げます。
赤枠で囲ったスキルは、特に年収があがり、独立後にも有利なスキルです。
具体的には「外国語」と「プログラミング」ですね。
ここまで習得すると年収数千万クラスを目指せますよ。
なお、購買職員が年収を1,000万円にあげるまでのロードマップを「購買職の平均年収とは?収入を3倍増する3手順【1千万円の目指し方】」の記事にまとめています、
年収アップに興味がある方は記事をどうぞ。
スペシャリストを目指すときの壁
スペシャリストを目指すには、上記のスキルマップの習得が必要です。
とはいえ、マックジョブ担当者を抜けた後の関所が何個もあり、挫折も多いはず。
具体的には、30歳前後に壁が訪れます。
理由は、会社の期待と自分の実力のギャップが最大化するから。
図にすると以下のとおり。
このあたりの体験談は以下の記事でも詳しく解説しています。
≫サラリーマンが35歳で一度は仕事を辞めたくなる理由│勉強不足です
ステップ③ クリエーター
会社組織の中でクリエーターの立場は部門長、もしくは取締役クラスです。
スキルマップの習得以外にも「経営学」「マーケティング」などの幅広い知識と経験が必要になります。
例えば、海外では「CPO│Chief Procurement Officer=「最高調達責任者」」という役職があります。
Appleの社長Tim Cook氏、トヨタ自動車社長の渡辺捷昭(かつあき)氏もCPOの出身でした。
購買部員としてスキルを極めて実績を積むと、クリエーターのキャリアに到達可能です。
社長にならなくても、それだけのスキルと実績があれば、次の未来も選べますよね。
・コンサル会社に転職
・コンサル独立して起業
クリエーターの仕事はAIや、ほかのだれかには絶対に奪われない仕事だから、未来においても価値が高いです。
購買部員の最終的なキャリアパスはクリエーターを目指します。わたし自身の例でいえば、45歳くらいで独立してコンサルができるかなと。
なお、クリエーターの目指し方は以下の記事で解説しています。
≫購買スキルマップと独立までのキャリアプラン│調達歴25年の集大成です
購買・資材調達部門のミッションと役割を明確化
購買のミッションと役割は以下のとおり。
購買のミッション
調達するという機能を通じて利益を造出する(稼ぐ力をつける)こと
購買の役割
①資材の調達・購買
②外注管理
③在庫管理
④原価低減
⑤調査
⑥情報センターとしての機能
上記を知ることは、ムダなキャリア形成を防ぐことに役立ちます。
・会社の中で、購買・資材調達部門の役割は何なのか?
・何がするべき仕事で、何が雑用なのか?
自部門がやるべきことか、そうでないのかがわかると優先順位が決まりますから、ムダな業務に悩まされなくなりますよね。
資材調達・購買は、雑用、頼まれ仕事、責任があいまいな仕事が多いです。
日々の業務に加え、依頼のすべてに対応しているとムダに消耗してしまいます。
購買・資材調達部門の特徴
購買・資材調達部門の特徴は「業務の難しさ」です。
1. やる(考える)べき事が多い。
2. 二律背反した意見に整合性をもって対応(全体最適化が必要)
3. 世界・日本経済に左右される
4. 調整能力が必要(組織一体で活動)
5. 情報センターとしての役割
購買職には幅広く専門的なT字型の知識が必要です。
T型│浅く広い知識を横軸に、1つ深く専門的な知識を縦軸に持つ人材のこと
転職市場では「シングルメジャー」とも言われます。他には以下のタイプがあります。
I型│専門性を追求したスペシャリスト
ー型│何でもできるゼネラリスト
Π型│幅広い知識の他に専門を2つ持った人材、T型がシングルメジャーと呼ばれるのに対してΠ型は「ダブルメジャー」と呼ばれます。
故に、奥が深く購買業務は片手間では出来ず、専任化が必要です。
専任化するには、事務処理や納期フォローから脱却する必要があり、スペシャリストになるには現地を見る(製造コストの算出)訓練も必要です。
専任化すると、人による購入バラツキが無くなり外部信用が得られるから、企業側も購買職員は長く育てることになります。
購買・資材調達部門の課題
購買部門の課題は購買記録を蓄積して、分析するためのデータベース構築を行うなどDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みとIT化です。
具体的には以下のとおり。
1. 時間とリソースが不足している
2. サプライヤーのパフォーマンスが見える化できていない
3. 調達業務が標準化できていない
4. データソースがバラバラ
5. 長くて面倒な外注プロセス
調達がグローバル化していくと、リスクも工数も増えてくるから「見える化」「共通化」「効率化」が欠かせません。
例えば、ABC 管理(ランク管理)で工数を集中するとか、市場動向を常に監視して交渉チャンスを逃さないとかは、自動化が当たり前ですが、購買職には属人化した仕事が多すぎです。
ところが、製造業にはIT・テック系の人材が少ないから、出来合いのパッケージソフトを買ってきて、逆に仕事が混乱している会社が多いです。
未来の資材調達・購買職のキャリアパス
近未来の話にもふれておきます。あなたの子供か孫の世代には確実に現実になる未来の話です。
結論は「選べるなら、テック系のキャリアパスを選ぶべき」です。
第4次産業革命では「クラウド化」「IoT化」「AI化」「3Dプリンター」によって製造業のほとんどが無人化されます。
製造業で生き残れる人材は上記を中央集権的にコントロールできる人材、つまりエンジニア系の人材のみです。
例えばアメリカでは現実にノースキルで大学を出た文系の働き先は量販店ぐらいしかありません。
アメリカでは多くの企業が即戦力を求めます。新卒であっても専門的な知識と実務経験があることが大前提ですが新卒で好待遇な会社は、ほぼテック系の企業です。
文系の専門を選んでいる時点で就職先が少ないから、就職できない文系大卒が増えているわけですね。
士業は衰退して稼げない未来
先日以下のツイートをしました。
中小企業診断士強いですね。
ただね…
その中小企業がなくなっちゃう可能性よ。なお転職には簿記も強いですよね。 https://t.co/CP87P1ijpK
— NimU@購買職25年×週5日ジム通い (@kamokamoman) August 30, 2022
高度にITが発達した未来では、専門職以外の分野は確実に衰退するといわれています。
「中小企業診断士」の資格は20年後にも安泰ですが、中小企業が衰退してたら意味無いです。
次に、以下のデータはアメリカの大学専攻における収入の分布。
米国で学士号のみを取得して卒業した120 万人のユーザーを対象とした 1 年にわたる調査に基づいています。
データは 2 つの異なる給与カテゴリをカバーしています。
初任給の中央値: 学位を取得して卒業した後の給与の中央値。
中途パーセンタイル:卒業後10年間の給与データをパーセンタイル(10位、25位、中央値、75位、90位)でソート
開始時の中央値の給与は卒業後に稼ぎ始めた金額を表し、チャートの残りの部分は、学位を取得してから10年後の稼ぎの範囲を示しています。低所得者 (10 パーセンタイル) が下限であり、高所得者 (90 パーセンタイル) が上限です。
※参照元≫VISUAL CAPITALIST
少し飛躍があるかもですが、ITやブロックチェーンの技術は日々進化しており確実に起こる未来かなと。
具体的にはブロックチェーン上に実装されるスマートコントラクトの機能が世界を変えます。
スマ-トコントラクトとは、あらかじめインプットとアウトプットが決められたプログラムのこと。具体的にわかりやすいのが自動両替機でして、あなたが1000円札をいれたら100円玉が10枚でてきますね。
こういった仕組みを使って個人が契約や資金の移動などをブロックチェーン上で行います。
例えば外貨の両替だけでも利便性は確実に高まります。
現在のスイフトの仕組みは、ぶっちゃけ面倒くさすぎですよね。また、日本に暮らしていると実感できませんが、世界には銀行口座を持てない人達もたくさんいます。
もう一つの例としては保険も自動化できますよね。
自動車事故をおこしたら必要項目を入力すると、決められた保険金が支払われるプログラムを実装しておけば、保険社員の仕事は不要です。
こういった世界で、じゃあ人は何をするかというと、働かない、もしくは高度な分野で頑張るです。
「ホモデウス」という書籍では無能階級という言葉が出てきます。つまり無能な人はAIの足を引っ張らない程度に働かないで下さいという世界。
「ホモデウス」によれば無能階級は働かない代わりに、生きるために必要なお金を得ます。そのかわり、できることも多少は制限されます。
無能階級でない人は高給を得るので完全な格差社会ですね。
「そんなことない!」と思うかもですが、書籍を読んでおくと、より現実的に感じられるはずです。
日本の人口分布と世界の比較
事実として、日本は人口が減って成長が止まっていく国です。40年後には人口が半減すると言われており、フィリピンと比べると成長の差は明らかですよね。
日本で働くか世界に移住するかの選択を迫られる未来は近いですが、とはいえ日本人としては暗い未来と嘆くだけでなく、様々な可能性を想像するべきですよね。
シナリオ① 世界の無人化工場として復活
シナリオ② 高度なIT産業が復活
シナリオ③ 完全にオワコン化して若者が世界に出稼ぎor移住
上記のうちすべてに対応できるオプションを選ぶべきでして、テック系のエンジニアスキルが最も汎用性が高そうです。
シナリオ③で移住を選べるスキルがあればOKですが、出稼ぎしか選択肢がない場合は東南アジアのコンビニ店員ですからね。
繰り返しますが、士業スキルや文系の学問は役に立ちません。
親の責任は重大
あなたが、今行動しておくことで、将来のあなたの子供や孫が救われるかもです。
テック系のオプションを持っている人材が40年後のポジションを確保しやすくなるから、子供や孫がどの分野で専門性を磨くかを決める親の責任は重要ですよね。
今のあなたが苦労してもメリットは少ないかもですが、テクノロジーに触れておくことで伝えられることも変わるはず。
自分の息子が「海外留学して歴史をコミニュケーションを専攻したい」と言ったら全力で止めますし、そう言いだす前にテック系に進むように誘導してるかもしれませんね。
まとめ
働き方はこれからの時代、次の3つに分かれていきます。
①マックジョブ:誰でもできるマニュアル仕事を低賃金で責任小で働く仕事
②スぺシャリスト:専門性を武器に、高時給、責任大で働く仕事
③クリエイター:独立してゼロ収入~高所得で働く仕事
購買の仕事で年収を3倍増するイメージは以下のとおり。
ステップ①:知識を蓄えてマックジョブで年収600万
ステップ②:スキルを蓄えてスペシャリストで年収1000万円
ステップ③:資格と実績を蓄えてクリエーターで年収数千万
「ちょっとがんばってみようかな」って思った方は、なにかひとつでも行動しておくと、未来が変わるかもです。
冒頭にも書いたとおり、ボクも年収300万円の営業マンから、購買職に転職したおかげで年収は1千万円超え…
誰でも少しの行動で未来は年収5倍のチャンスがあります。
購買職のスキルマップとキャリアアップの方法は以下の記事で解説しています。
≫購買スキルマップと独立までのキャリアプラン│調達歴25年の集大成です
購買の仕事は年収を上げやすい仕事なので、極める価値はありますよ!(^^)!
購買職の探し方は、以下の記事でどうぞ。未経験者でもわかりやすいように、具体的な5つの会社の求人を使って解説しました。
≫【未経験者向け】購買転職手順の完全講義│現役部長が求人の見方を解説
自分のキャリアに自信がない方は以下の手順も参考にどうぞ。ボクがコンサルした方でキャリアに不安がある方でも全員転職できた方法だから有益です。
少し工夫するだけで転職できるはず。
≫【解決策あり】30代でも購買転職の書類選考に受からない3つの理由
というわけで、本記事は以上です。
マイナビエージェント|定番です。案件も多いから登録して損はしないはずです。
JACリクルートメント│薦めたい転職エージェントNo.1。業界トップの実力と実績があり安心です。
doda│業界歴が長く、信頼できる転職サービス。地方案件にも強いですね。
※上記の転職エージェントがおすすめな理由は「購買系に強い転職サイト・エージェント3選│独立する前提で選ぶべき」の記事をどうぞ。